「ステロイドの注射をしたけど痛みはよくならず、指関節もカクカクしたり固まったまま。残す治療は手術しかない」
ばね指(腱鞘炎)のご相談では、よく上記のようなお話を患者様からお聞きします。
中には「片方の手はほぼ手術していて、今度は手術してない方がなった。」という何度もお辛い経験をされた方も。
ばね指は腱や腱鞘が炎症を起こして腫れることにより生じるものですが
なぜ炎症が起こるのでしょうか。
炎症が起こる原因は新臨床中医学の様々な方法で分析していくと分かってきます。
その分析方法や考え方をご説明します。
①指を診る
指にはそれぞれ経絡が流れています。
親指:肺経
人差し指:大腸経
中指:心包(しんぽう)経
薬指:三焦(さんしょう)経
小指:小腸経、心経
これらの経絡から炎症の原因が特定できることがよくあります。
この指が悪いということは原因は「冷え」!この指なら「ストレス」!この指なら・・・。
という風にどの指かによって原因がそれぞれみえてくることが多いです。
また、指が「曲げにくい」「伸ばしにくい」ということでも原因が違います。
このように指だけでも良くなるための情報が盛り沢山です。
②情報を集める
新臨床中医学では他にも舌診(ぜっしん)や問診、関節負荷テスト法、脈診といった方法でばね指(腱鞘炎)の原因の情報を集めます。
新臨床中医学の舌診は、体質を見極めるための情報がかなり細かく収集できますので、複数回に分けて舌を見ます。
分けて見ると舌の色や形に変化が生じることもあり、その変化からより体質が詳しくわかることもあります。
舌の情報から、ばね指(腱鞘炎)の原因となる体質を導き出します。
新臨床中医学の問診は、「冷え」「熱」「虚」「痰湿」「水飲」「気滞」「瘀血(おけつ)」といった病因の有無を細かく分類して調べます。
患者様ご本人からお聞きした情報から体質が分類されていきます。
詳しく分析するため従来の漢方の問診よりお聞きすることが多いですが、「こんなに話を聞いてくれたのは初めて♪」と喜んでいただけることが多いです。
『どの指を診るか?』というのも新臨床中医学ならではの体の情報の集め方で、これは関節負荷テスト法を応用した診察法です。関節負荷テスト法を用いると鍼灸や整体でも従来よりも格段に治療効果が上がりますので、最近は新臨床中医学を取り入れた鍼灸院や整骨院も少しずつ増えてきています。
③食事指導や生活指導
ばね指(腱鞘炎)は食べ物(飲み物)や食べ方が影響している人が多いです。そうでない人もいますが、食べ物(飲み物)や食べ方を見直すだけでも痛みや関節の腫れ・変形が進行しなくなることもよくあります。
逆に飲食物や食べ方を見直せない人は改善しにくい傾向にあります。
飲食物が指の痛みや変形に影響すると知らなくて当たり前ですが、漢方の専門家でもこのことを熟知している人は稀です。
人によって合うもの・合わないもの・避けたほうがいいものなどとても大事なことですので、私は各々に合った食事指導をさせていただいています。
生活習慣でも指の痛みや腫れなどに影響することはよくあります。何の影響で症状が悪化するのかは体質を見極められると分かることですので、それぞれの体質に合わせて生活の見直しをしていただくことも提案させていただいております。
④まとめ
ばね指(腱鞘炎)を患い、「手術しかない」と診断された方でも実際に多くの患者様が漢方療法により手術せずに回復されています。
ばね指(腱鞘炎)の原因となる体質を見極め、その体質を治していくことでばね指(腱鞘炎)も改善していくのです。
西洋医学の治療も効果的でありますが、もし打つ手が考え付かないようでしたら漢方(新臨床中医学的)療法のことを思い出してみてください。
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