更年期障害と漢方

〇更年期

日本人の平均閉経年齢は約50歳と言われていますが、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。個人差は非常に大きいです。

閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。

更年期障害の主な原因は、女性ホルモン（エストロゲン）が急激に低下や不安定化するためということが知られていますが、その上に環境因子や心的ストレス、加齢などが複合的に関与することで発症すると考えられています。

更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。

〇症状

ほてり、冷え、のぼせ、ほっとフラッシュ、発汗、抜け毛

めまい、動悸、息切れ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節痛、疲労感

イライラ、不安感、不眠、抑うつ、無気力、

皮膚症状(乾燥、かゆみ、湿疹など)、腟の乾き、性交痛、膀胱炎

などそのほかにも様々な症状が出ます。

〇一般的な治療法

現代医療ではホルモン補充療法や向精神薬を用いるほか、漢方薬を積極的に使用する医療機関も増えてきました。

ホルモン補充療法は症状を抑える効果は高いですが、ひどい吐き気や体調不良の副作用で服用が困難になるケースもあり、漢方薬が処方されるケースは増えてきています。

〇新臨床中医学（漢方）で考える治療法

保険適用される漢方薬は「症状」で漢方薬を選別しますが、

新臨床中医学では「体質」で漢方薬を選別します。

例えば

”「動悸」という症状の更年期障害には

「〇〇湯」という漢方薬を使用する。

「のぼせ」なら「△△散」。”

というように保険適用の漢方薬は「症状」で決まります。

一方、新臨床中医学は『体質』で決めます。

「動悸」や「のぼせ」（そのほか様々な症状）などの「症状」には

その症状を引き起こす『原因』があると考え、

原因から考えられる『体質』を導き出していきます。

例えば

”精神的なものが原因であれば「気や血の流れが滞りやすい体質」

体の弱りが原因であれば「虚（体に必要なエネルギーや栄養が不足した状態）体質」

過飲食が原因であれば「痰湿（体の中に不必要なものがたまったもの）体質」”

などです。

「体質」は、お一人お一人違うわけですから

「症状」ではなく、その人の「体質」に合わせて漢方薬を選んでいきます。

「症状」が同じでも『体質』が違えば、使用する漢方薬も当然違うわけです。

〇新臨床中医学からみる更年期障害の特徴

①更年期では女性ホルモンの分泌の減少の幅が大きくなります。

心身に不調を来すほどの急激な減少であれば、これはホルモンを分泌する力が急激に衰えていることが言えます。

こういった場合は元々体の弱りのある方に多くみられ、このような方は

【虚（きょ）】体質

です。

虚体質は体の中に必要なエネルギーや栄養が不足している状態ですので、少し動いたり無理をすると疲れやすく、動悸や息切れなどの症状が出やすくなります。

横になると回復しやすいですが、疲れが強いときは横になってもなかなか回復しない場合もあります。

②更年期では女性ホルモンの分泌が減少するだけでなく、出たり出なかったりと不安定にもなります。

このような場合に考えられるのは

【気滞（きたい）】体質

【瘀血（おけつ）】体質

気滞（気の流れが滞った状態）や瘀血（血の流れが滞った状態）体質は、

精神的なストレスを受けている人や神経をよく遣う人に多いです。

気滞や瘀血は、脳が過度に緊張しやすい状態と関係が深いです。

それはストレスだけでなく

・パソコンやスマホなどで目を酷使する

・集中する作業をする

・長時間の車の運転

・考え事をする.....

などの時にも脳が過度に緊張しやすくなり

気滞や瘀血が生じやすくなるのです。

気滞や瘀血体質では、上記のような状況の時にも

症状が出たり、症状が強くなったりする傾向にあります。

〇新臨床中医学的治療

【虚体質】であれば不足しているエネルギーや栄養を主に漢方薬で補います。

補助的に食事や生活習慣も虚体質に合わせたものに見直していきます。

【気滞・瘀血体質】であれば気や血の流れをよくする漢方薬を使います。

こちらも生活習慣や環境などを見直していきます（ここが重要だったりもします）。

更年期のつらい症状を引き起こす体質はほかにもあり、その体質に合わせた治療を行います。

体質を見極め、その人その人に合わせたオーダーメードの治療をしていくことで、辛い更年期症状もよくなっていきます。

そして嬉しいことに新臨床中医学的療法では若返る方も多いです。

治療により不具合が生じた体質を正常に戻すので、体全体も正常に健康を取り戻していくのです。

乾燥してた髪や肌に艶が戻ったり、抜け毛が減ったり、髪自体が元気になったり、肌のくすみが明るくなったりと治療を進めていくにつれ、ご相談前より若々しくなる方は多いです。

同僚や家族から

「元気になったね」だけでなく「きれいになったね」

と仰られる方もいます。

精神的にもイライラしていたり、不安だったり、やる気がでなかったりしていたのが精神的に安定してきますので、日々の生活が楽にもなります。

お困りの方はご相談ください。現代医療での治療が難しい方でも喜んでご相談させていただきます。みなさまのご健康と笑顔を取り戻したいという想いです。

池田東洋堂薬局

TEL:093-561-3562

北九州市小倉北区木町3丁目13－1