「逆流性食道炎ならコーヒーは飲まない方がよいですか」
という質問を受けることがあります。
逆流性食道炎の方は、西洋医学的にはあまり飲まない方がよいと考えます。
なぜならコーヒーに含まれるカフェインが胃酸の分泌を促進するからです。
胃酸の分泌を抑えることで逆流性食道炎の胸やけや呑酸、胸の痛みなどの症状や胃のただれや潰瘍を改善しようというのが一般的な治療ですから、胃酸の分泌を促すものは控えた方がよいのです。
それでは漢方的にみるとどうでしょう。
その答えは
「人による」
です。
その説明としましては、まずコーヒーの「味」を考えないといけません。
食べ物や飲み物は【苦】【甘】【辛】【鹹(しおからい)】【酸】という5つの味(五味:ごみ)のいずれかをもつと漢方では考えます。
簡単に説明しますと
苦味・・・体に溜まったいらないものを排出する
甘味・・・補う
辛味・・・流れをよくする、発散させる
鹹味・・・固いものを柔らかくする
酸味・・・収斂する
これらの中でコーヒーは
苦、微甘(少し甘い)
です。
特徴的なのは、コーヒーは【苦味】が強いことです。
【苦味】は体に溜まった要らないものを出しますが、大量に摂りすぎると必要なものまで排出してしまい体を弱らせます。
ですので、体に弱りがありそれが逆流性食道炎と関係している場合はコーヒーは飲まない方がよいです。
弱りがなくコーヒーを飲んでも症状が出ないようであれば少しくらいなら飲んでも差し支えない場合もあります。
逆に体に溜まったいらないものが原因で逆流性食道炎の症状が悪化するような人であれば、コーヒーの【苦味】がいらないものを排出してくれますので、このような人はコーヒーを飲む方がよい場合もあると漢方では考えます。(それでも大量摂取はオススメしませんが。)
コーヒーは病気や症状に係わらず、体に溜まったいらないものを出してくれますので、甘いものや脂っこいものなどをよく摂っている人には適しているかもしれません。
その他に、コーヒーは【香り】が高く、この【香り】を好む人は多いですよね。
【香り】は漢方では気の流れをよくすると考えることがあります。ストレスが溜まっている時や気疲れしている時などにコーヒーを飲むとスッキリするのはこの【香り】が気の流れを良くしてくれるからかもしれませんね。
また昔の漢方の考え方ではコーヒーは「温める」性質があると言われていましたが、最近の漢方の考え方ではコーヒーは「温めも冷やしもしない」というふうになってきているようです。
ただし、冷たいアイスコーヒーばかりを飲んでいると【冷え】が生じる可能性はありますので注意しましょう。
漢方的にコーヒーは
①強い【苦味】で体に溜まったいらないものを出してくれる。
②【苦味】が強いので、弱っている人は控えめに
③【香り】で気の流れをよくする
が基本の考え方になります。
ただし、コーヒーには甘味や酸味もあります。
甘味や酸味は基本的に弱った体を建て直すときに用いますので、疲れている時などは甘味や酸味が強く苦味の少ないコーヒーがどちらかといえば体には優しいかと思います。
「コーヒーは好きだけど、受け付けなくなった」
という方がいます。「コーヒーを飲むと気分が悪くなる。今までは飲めていたのに。」と。
漢方的に考えますと、それは体の疲れや弱りのサインかもしれません。
こういう場合は漢方薬と体を休めることでまたコーヒーが飲めるようになっていきます。
また、先ほどの逆流性食道炎ですが、当局にご相談くださる逆流性食道炎の患者様の大半は、胃酸を強力に抑える薬でさえあまり効果がないという方ばかりです。このような重症な方でも漢方療法で回復できますのでお困りの場合はご相談ください。
コーヒーは西洋医学的にも東洋医学的にも大量摂取は体に毒ですが、逆に適度に上手に摂取すると体には嬉しい効果が期待できそうです。
適度にコーヒーを楽しむと良いようですね。
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