令和7年10月8日(水) 医療関係者向けの漢方Web勉強会(小太郎漢方製薬主催)。
前回の続き
①ホットフラッシュ
ホットフラッシュは更年期の女性に多い症状ですが、
更年期以外の年齢でも男性でも起こりうる症状です。
漢方では、自律神経の乱れだけでなく、虚(不足)体質や熱体質なども関係すると考えます。
また熱体質には実熱や虚熱という2つの体質に分けられ、これらを考慮しなくてはいけない場合も多いです。
食生活や生活習慣が多少なりとも影響していることもあります。
上記の体質が複雑に絡み合っているケースも多く、市販の漢方薬では効果が無いという人が多いのもこのためです。
・自分の体質はどんな体質で、その体質に合った生薬は何か?
・その生薬の量はどれくらいが適切か?
・食事や生活習慣で自分に合った量や物、方法は?
・現在の気候や季節の影響は?
など漢方の専門家は、たくさんのことを考慮しながらその人に合った漢方薬を選定します。
②円形脱毛症
今回の円形脱毛症の症例では脱毛部分と経絡が関係しないかを考察して解説しました。
円形脱毛症はストレスや気疲れが主な原因となっていることが多いのですが、今回の症例で
主な原因は
陽気虚
そのほかに陰虚、気滞、瘀血、水飲停留といった複合的な原因もみられました。
漢方薬を継続していただくことで、ほとんど白髪だった髪の色が全体的に徐々に黒みが増していき、脱毛部分の髪の毛も生えていきました。
円形脱毛症のご相談では複数の脱毛がみとめられることが多く、今回も脱毛部分は複数ありました。
脱毛部を通る経絡と漢方的な問診、舌診、脈拍数から導きだした体質とでは、一致する体質がありました。
今回の症例で経絡とその他の弁証とで一致する体質は
気滞証
寒証
でした。
寒証と陽気虚証は「冷え」という共通点があります。
陽気の不足は寒に通じますのでなるほどなと思いました。
また陽気の不足で白髪になる人は多いため、陽気を補うことで白髪が黒く変化したことがうかがえます。
今回は冷え体質の症例でしたが、反対に抜け毛の原因が熱体質の場合もあります。
ホットフラッシュや円形脱毛症でもその人その人の体質で漢方的治療は変わります。
まずは体質を見極め、体質に合った生薬を見極め、最後に漢方薬を決定します。
中医学(漢方)的な体質の見極め、大事です。
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