以前こんなことがありました。
「牛黄(ごおう)をちょうだい」
という指名買いのご高齢のお客様だったのですが、よくよくお話をお聞きすると・・・。
「最近歩くと息切れがして全然歩けない。脈拍数を計ったら40台だったり30台だったりしたので病院に行った」
「病院では『心不全ですし、その状態ではペースメーカーを体に入れる手術をすぐにしないといけない』と言われたけど、入院は来週にしてもらった。」
「心臓と言えば【牛黄】だと思って買いにきた」
という内容でした。
牛黄は確かに【強心作用】が確認されていますし、東洋医学では開竅(かいきょう)作用といって、『詰まったところを拡げて気血の通りをよくする』ことも知られています。
気つけや動悸時、狭心症の発作などにも使用されることはありますので、
心臓といえば【牛黄】
ということだったのでしょう。
ただこのお客様の脈拍数は少ない時で30台です。
漢方では脈拍が60以下で「遅脈(ちみゃく)」と考えます。
遅脈は「冷え」体質を意味します。
それが30台!!
ここまで少ない数字で年齢も加味して考えますと
『温めるエネルギーが消耗しすぎて冷え体質になっている』
ということが言えます。
そして
【牛黄】は体を冷やします。
脈拍が60以下の人に冷やす漢方薬や飲食物は慎重にならなければなりません。
それが40や30台ともなればなおさらです。
冷やす【牛黄】でさらに脈拍が下がり、重篤な事態を引き起こす可能性も考えられます。
牛黄をお求めにいらっしゃったお客様には、まずは病院でしっかり調べてもらってから、漢方薬は考えましょうということで、牛黄は販売せずにことの重大さをお伝えして、入院まではなるべく安静にしていただくようお話をしてその日はお帰りいただきました。
漢方は体質に合えば驚くほどの効果を発揮する場合もよくありますが、間違った使い方をしますとその逆もありえます。
漢方は体質を見極める技術がとても重要です。
安易にネットで
「この漢方薬が○○に効く!」
などという宣伝に惑わされず、信頼のおける専門の方にご相談して
漢方薬を購入されることをお勧めします。
池田東洋堂薬局もご相談ができる漢方相談薬局ですので
是非ご相談ください。
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