~漢方専門家向けのお話~

〇三稜(さんりょう)のご紹介

漢方療法で、【瘀血】が原因であれば活血薬を使用することは必然です。


日本でスタンダードな活血化瘀薬というと、桃仁、川芎、紅花、牛膝、丹参、赤芍などそのほかにもいくつかあり、活血化瘀薬以外にも活血作用をもつ牡丹皮田七などもよく使用されています。

ただこれらの優れた活血化瘀薬であっても

“活血作用を有する生薬をいくつも組み合わせているのにあまり効果がない”

というようなご経験の先生方も多いかと思います。


そんなときに『三稜』がとても役に立ちます。


ご存じの先生も多いと思いますが、破血薬『三稜』は、上記生薬よりも活血効果が高く、他の活血化瘀薬で効果が薄い場合でも『三稜』を使用することで改善がみられるケースはよくあります。


私が若かりし頃、活血化瘀薬を多種類・量多めに使用しても効果がそれほどでもなく困っていた折に『三稜』を試しに使用してみたことがあります。


効果は想像以上でした。


痛みや出血量のひどい患者様で、通常の活血化瘀薬を多種類・量多めで少し症状や出血量が軽減した程度でしたが、それらの活血化瘀薬を減らし『三稜』を少量加えただけで劇的に回復へと向かわれたのです。


目から鱗でした。


それ以来、各生薬の作用や効き目(薬味薬性)などをより深く考察するようになりました。(それ以前から生薬の違いの大切さは師からお聞きしていたのですが、頭では理解していても経験しないと分からないものですね。)


『三稜』は関節や筋肉の痛み、気圧差による頭痛や頭重・体のだるさ、筋腫や内膜症などのひどい痛み、強い月経痛、月経時の出血過多、アレルギー、痒み、めまい、耳鳴り、中途覚醒など多岐にわたって様々な頑固な【瘀血】が原因の症状に役立つことが多いです。


あくまでも【瘀血】が原因のものに限ります。


当然ですが【瘀血】以外の原因には効果がありません。


注意点は【虚】です。

・作用が強いのため【虚】が生じやすくなります。

・専門家でない一般の方(独学で漢方を勉強している方も含む)のご判断でのご使用はお控えください。


〇最後に

『三稜』を使用する前と後では考える幅が大きく違います。まだ使用未経験の先生には是非ともご経験いただきたい生薬です。ごく少量(0.2~0.3g/日)から使用されてもよろしいかと存じます。

この情報を通して一人でも多くの方のご健康につながることができましたら幸いです。


池田東洋堂薬局

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池田東洋堂薬局(漢方)

病気の原因が分からず、「治療がうまくいかない」「治療薬自体無い」というご相談をよく受けます。そんな時に『新臨床中医学』の視点で考えると改善方法がみつかることは稀ではありません。少しでも多くの方のからだの悩みや苦しみが、少しでも軽くできたらと思いホームページを開設しました。